仲間との連携が全ての超スルメゲー "FBC: Firebreak"【プレイ感想】
『FBC:Firebreak』が6月17日に発売されたので デラックス版で購入した。
本作はRemedy Entertainmentのゲーム『CONTROL』のスピンオフで、連邦操作局を舞台に最大3人でチームを組んで超常的存在と戦うCo-opシューターだ。
プレイ感想を端的に書くと…私"は"大好き。30時間以上遊ぶ程度にはハマっている。
思わずSteamでガイドを作っちゃうぐらいにはハマっている。
しかし6月末時点でのSteam内評価は賛否両論となっており、ハッキリ言って初動でズっこけてしまっている。個人的にも手放しで褒められるゲームではないと思うが、断言しておきたいのが 決して失敗作と言われるようなものではないということだ。
本作には独自性と、やり込むことで見えてくる面白さがある。
今回はFBC: Firebreakの良さを紹介しつつ、期待する改善点についても書き残しておく。
SCPから着想を得た世界観はそのまま
まず本作の魅力を挙げるとすれば やはりCONTROLから続く独特な世界観だろう。超常現象を起こす"変貌アイテム"、それを研究する"連邦操作局(FBC)"といったSCP財団から着想を得たオタク好みの設定と、古い機器で囲まれたブルータリズム建築というビジュアルはそのまま受け継がれている。
プレイヤーは、"ヒス"という超常現象生命体に乗っ取られたFBC内で先遣隊として様々な任務を行う。任務内容は 故障した"生きている焼却炉"を直したり、人に貼り付いて襲いかかる"付箋"を剥がしたり、人を凍らせる"暴走スキーリフト"を落ち着かせる儀式をやったりと多岐にわたる。
また、汚染された"変貌アイテム"も襲いかかってくる。これはSCPのような超常現象を起こす物体で、任務中にプレイヤーを妨害してくるお邪魔キャラだ。一部はCONTROLから続投している。
▲ ゲーム中に登場する変貌アイテム "ラーメンランタン"
もちろんプレイヤーも変貌アイテムを使って戦う。画面下部のゲージが溜まれば 異常現象を起こす変貌アイテムを使った必殺技を繰り出すことができるのだ。
もぉ~ こういう世界観でCo-opシューターできるだけで嬉しくてたまらない。
協力プレイなんだから "仲間と連携" しなきゃ
プレイしていてゲームシステムの端々に感じたのは "仲間と連携すること" の重要性だ。
そのひとつに、各プレイヤーの周囲に展開されている見えないフィールド "共鳴" がある。
これは近くの他プレイヤーに良い影響を与えるもので、例えば 敵から攻撃された時に消耗するシールドは仲間の共鳴範囲に入ることで回復するし、強化した特殊能力(パーク)を装備しておけば近くのプレイヤーにも同じ効果を付与できるようになる。
つまりプレイヤー同士が固まって動くことで生き残りやすくなるのだ。もちろんその上でどの任務もプレイヤーがバラバラに動いたほうが早く進むように作られているので、1人になるリスクとそのリターンもちゃんと用意されている。
自分の役割を意識して動く
次に 各プレイヤーが銃とは別に装備して使う"クライシスキット"。
これは任務中に発生する作業を効率的に行うのに使う重要なツールで、本作の協力プレイをユニークなものにしている。
任務中は壊れた機械を修理したり、発電機をつけたり、燃え広がった炎を消火しないといけないのだが、普通にやろうとすると QとEを不規則に連打するミニゲーム が発生して時間がかかってしまう。
ここでクライシスキットの出番だ。各キットにはそれぞれ役割が割り当てられていて、
"修理キット"は壊れた機械を殴って修理し、"ジャンプキット"は電撃を放って機械に電力を供給し、"スプラッシュキット"は放水して火災を鎮火することが可能。ミニゲームをスキップして即座に作業を終わらせることができる。
なので、いかに自分の役割を理解して動けるかがゲームのテンポ感を決める。率先して自分の得意なことをすればミッションは早く進むし、他のプレイヤーひいては自分を助けることになるのだ。
他プレイヤーとのシナジー
先程のクライシスキットは武器として使うこともできるのだが……
"修理キット"は巨大スパナで敵を殴り飛ばせるが 少ししかダメージを与えられず、"ジャンプキット"は電撃を放って敵を痺れさせることができるが 動きを止めるだけでダメージは与えられず、"スプラッシュキット"は放水で敵を水浸しにできるが 怯ませるだけでダメージは与えられない。
▲ 痺れた敵は隙だらけになる。
つまり単体では武器としてほとんど機能しないのだが、敵は大きく隙を晒すので他のプレイヤーがその間に銃で撃てば敵を一方的に攻撃することができる。
しかも、クライシスキットは組み合わせることで大きく化ける。
水浸しにした敵に電撃を放てば 敵に大ダメージを与えられるし、水浸しは近接攻撃にも弱くなるのでスパナで殴って多くダメージを与えられる。押し寄せてくる敵の大群もプレイヤー同士が連携すれば一気に殲滅できるのだ。
蘇生やバケツリレーの時以外はスタンドプレーになりがちなCo-opシューターで ゲームシステムがここまで仲間との連携に振り切ってるのは かなり面白い。また 連携は必須なわけではなく、あくまで連携したほうが楽というバランスに抑えられている。
作業の簡略化や戦闘でのシナジーがあるように、このゲームは3人パーティが特定のキットに偏るよりも全員バラバラのキットで挑んだほうが何かとお得だ。任務によって活躍しやすいキットはあるものの 基本的に全てのキットに活躍する場面があるし 特定のキットが強すぎるということが起こっていないし、特定のキットが遊んでいてつまんないという瞬間もない。役割のバランスが本当に良い。
低評価の理由は 序盤の不親切さ?
さて、最初にも書いた通りFBC: FirebreakのSteam内評価は6月末時点で 賛否両論 だ。
こんな評価になった理由はいくつかあるが 主な原因は最初に使える武器・装備が弱い上に少なかったり、ゲームシステムの説明や誘導が少ない等々 序盤のゲームプレイに問題があったからだろう。ただ、最新のアップデートで一部改善されていることも書いておく。
まず装備についてだが ゲーム開始時点でプレイヤーの武器はなぜか弱体化されており、クライシスキットも必殺技などの機能が制限された状態で始まる。感覚的には0からではなくマイナスからスタートさせられている。
しかも装備を解除するのにスキンやスプレーといった戦闘に必要ないアイテムも解除しなければいけなかったため無駄に時間がかかっていた。さすがにこれは最新アップデートで別々に解除できるようになった。
そして任務を始める時に選択する"クリアランスレベル"もプレイヤーに大きく混乱を与えていた。これは難易度とは別に任務の長さを決めるもので、レベルが上がるごとに画像のゲートの奥へと進めるようになる。
レベル1~2はほとんどお試しみたいなものでレベル3が事実上の本編となっていたにも関わらず、プレイヤーは 最初の任務のレベル1 → レベル2 → レベル3 → 次の任務のレベル1……というような攻略順を強いられていた。これはキツい。
クイックプレイで遊んでた私はこの問題を知らなかった。クイックプレイで遊ぶ分には上の攻略順が無視できるし、クリアした任務もあとで選択できるようになっていたからだ。
なお現在はアップデートで最初からレベル3の任務に挑めるようになっている。
そして何よりこのゲームを苦しめているのは、全体的な不親切さだ。
ゲームの攻略法から 先程紹介した深いゲームシステムも ゲーム中は全く説明がない。正確には画面端にTipsがいろいろ表示されるのだが地味すぎる上に一度しか表示されないのでほぼ意味がなかった。
特に酷いのは 装備の解除やパーク強化に使うアイテム"失われた資産" が地味すぎて、任務中に拾えることに多くのプレイヤーが気づいていなかった。これでは装備が解除できないに決まっている。
開発曰く、プレイヤーの9割が一度も"失われた資産"を拾っていなかったようで アップデートで黄色い光と音を放つようになった。
地味すぎたり、説明不足だったり、初見殺しだったりで新規プレイヤーをふるいにかけていたわけだが、じゃあ慣れているプレイヤーが誘導してあげればいいじゃないかと思うかもしれない。しかしゲーム内にボイスチャットやテキストチャットが無いため、ピンをさす以外 味方に何かを説明することもできないのだ。ツラい。
序盤の不親切さでこのゲームは大きく損をしてしまったが、逆に やり込んだプレイヤーからの評価は高い。私も独自システムさえ理解してしまえば 面白いゲームだと思う。
あとはコンテンツ量の問題で、今は任務や装備の数が圧倒的に少ないのでそこらへんを増やせるかが課題となってくるだろう。
久しぶりにやり甲斐のあるCo-opシューターに出会えたんだから、すぐ開発終了だけはやめてね~~~~!!!!!!!
再度 宣伝になるが、初心者用のガイドも作ったのでぜひ利用してほしい。