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緊張と爽快の蹴破りアクションFPS『Anger Foot』デモ版【STEAM NEXTフェス 2022】

今年もSteam Nextフェスの時期がやってきた。

Steam Nextフェスはゲームのデモ版を試したり、ライブ配信を見たりすることで最新ゲームの情報に触れることができるイベントだ。コロナ禍によってリアルイベントの開催が厳しくなる中で、プラットフォーム側がこのような催しを用意してくれるのはプレイヤーとしてもインディー開発者としても嬉しい限り。
というわけで、いくつかデモ版を遊んだ中で特に気になったタイトルを紹介したいと思う。

『Anger Foot』2023年 発売予定

今回紹介するAnger Footは 『Broforce』『Genital Jousting』で有名な南アフリカのインディースタジオFree Livesが開発中のアクションFPSゲーム。元々は7DFPSという一週間でFPSゲームを作るゲームジャムの参加作品で、そこからさらに改良が加えられDevolver Digitalのパブリッシングで発売することになったようだ。

ドゥン!ドゥン!と鳴り響く激しいBGMにノリながらひたすらギャングを蹴散らしていくハイスピードなゲームで、1つのステージはだいたい2~3分掛かるか掛からないか(素早く動けば数十秒で終わるものもある)というボリュームでテンポよく進んでいく。

▲ステージクリア型で、タイムアタックや縛りプレイが可能。

最大の特徴はキックアクション。敵を蹴り倒すのはもちろん、ドアを蹴破るのにも頻繁に使う。ドアを蹴って、部屋の敵を一掃したらまた次の部屋のドアを蹴る…これを繰り返してステージ最深部のゴールを目指す。
基本的に敵は蹴りでも銃弾でも一撃を加えれば即死、しかし主人公も銃弾2~3発で死んでしまうし、近接攻撃やショットガンなど一撃で死ぬこともある。

▲ドアを蹴破って突入する。飛んでいったドアが敵に当たれば一撃。

"敵も自分も等身大の脆さ"なのと"ギャングにカチコミに行く"要素は同じDevolver Digitalの『Hotline Miami』を思い出させるが、Anger Footはドアを破らない限り他の部屋から敵が自発的に出てくることがなく、敵がコチラに気づいてから攻撃してくるまでにラグが生じたりと余裕があるためステージが初見でもアドリブが効きやすい
なので何十回もやり直す"死に覚えゲー"というほど難易度は高くないのだが、タイムを縮めようと思ったりサクサク進めるにはある程度の腕が試されてくるので、上級者も満足できる出来になっている。

▲ありがちな隠れ家。家具を蹴り飛ばしたり、落ちてる酒を飲んだりもできる。

ハードだけどコミカルに描かれるギャングとの抗争

やることと言えばギャングとの撃ち合いという血みどろで大変ハードな内容にも関わらず、本作がコミカルにおさまっているのはデザインと世界観の影響が大きい。

まずデザイン。
登場する敵はワニや犬などの動物から爆弾や手(中指立ってる)まで擬人化させていてどれも可愛らしく、リアルな人間は登場しない。キャラクターから背景、血の配色までグラフィティアートを意識しているのもオシャレだ。

それから世界観。
主人公はどうやら靴マニアのようでレア物の靴を収集しているのだが、その中の1足を汚職警官GOO COPに奪われ、人質ならぬ"靴質"にされてしまうという所からストーリーが始まる。

このユルさが絶妙。主人公に感情移入すると同時に「そんなことでドンパチしてるの?」という俯瞰的に観たときのアホらしさがより強調されて素晴らしい物語だ。

▲足でアイテムを触る斬新なシステム。彼女に足でポップコーンを食べさせる。

あと主人公がやられると敵が煽るようにダンスし始めるのもバカっぽくて「コイツらになら容赦しなくてもいいか」と清々しい気持ちになれる。話がそれほど深刻じゃない上、いたずらにグロテスクなわけでもないので発売されてからも気軽に始められそうだ。

▲トイレ中でもお構いなし!

やり甲斐のあるアクションと靴収集

ハイスピードな戦闘はかなり面白い。

ギャング達は強力な武器を持っているが非常に脆いため、攻撃させる暇もなく即座に倒すことが重要。慣れてくるとアクション映画の主人公のようにバンバン敵を倒して進むことができるようになる。

▲敵は壁に隠れながら体の半分だけ出して撃ってきたりもする。

ゲームが難しい人や味変して楽しみたい人向けに装備品も用意済。
ある条件を満たすと"靴"がアンロックされ、装備できるようになる。靴にはそれぞれ全く違う効果がついていて、「敵を倒すと弾薬回復」「キック長押しでタックル」「ドアを蹴破るとスローモーションになる」といったどれも強力なものばかり。

弾薬回復の靴を履けば同じ武器で長時間楽しめるし、スローモーション効果の靴を履けば敵を落ち着いて狙うことができる。どれを履いても面白いし、デモ版の段階では"これが最強"という靴は無く好みで選ぶものだと感じた。

靴のデザインも多種多様で、さすが"足ゲー"といったところ。

 

Anger Footは今回のNextフェスで遊んだ体験版の中でもかなり満足度の高い内容だった。これは2023年のDevolver Digitalも安泰か。