2015年の傑作は今遊ぶとどうなるのか "Downwell"【ゲーム雑記】
2015年に発売されたゲーム「Downwell」
これは Gamemaker:Studioを愛用するインディー開発者として、あるいはドキュメンタリー"Branching Paths"を視聴したファンとして、あるいは単にゲーマーとして避けては通れないゲームだった。
それほど興味深い対象だったにも関わらず、私がDownwellを購入・プレイしたのは2020年に入ってから。実に5年経過している。
しかし5年経ってからプレイしたことで見えてきたものもある、今このゲームを遊ぶと何が見えてくるのか。
秀逸なアイデア
Downwellの核となるのは やはり「ガンブーツ」だろう。
ジャンプ後に足元を攻撃する「ガンブーツ」の要素は極めて秀逸だ。これらは単に攻撃としてだけでなく滞空などの防御的な使い方も可能で、また操作系統もシンプルになるなど良い事ばかり。
もっぴん氏はこれについて宮本茂氏の「アイデアとは複数の問題を一気に解決するもの」という言葉を引用している。
デザインも面白い
基本的には白黒赤の3色で構成されていて、非常にシンプルだが これもゲームデザインにうまいこと落とし込まれている。
"白い敵は踏んで倒すこともできるが、赤い敵はガンブーツでしか倒せない" というように、色分けによって「危険なもの」「そうでないもの」をプレイヤーに区別させている。
最近はインディーゲームでも Downwellのような色合いのゲームをちょくちょく見かけるようになったが、デザインに意味を持たせることを忘れがちだ。
操作性のほうには疑問が残る
ただ正直、Downwellで最も悩まされたのはローグライク特有の難易度ではなく、操作性からくる難易度だと思う。コンボを狙おうとすると分かってくるが、細かい操作でのほんの少しのズレが致命的なミスに繋がる。足場にひっかかったり、敵を踏みつけてもなぜかコンボが途切れてしまう。
操作性の良さで参考になるのは「Celeste」という作品。高難易度なレベルデザインにも関わらず、極めて完成度の高い操作性によって 私をウンザリさせることなくエンディングまで導いてくれた秀逸なゲームだ。
前述の"ほんの少しのズレ"をケアしてくれるのが Celeste の特徴で、プレイヤーは気持ちよく遊ぶことができる。
詳しくは以下の動画が分かりやすく解説してくれているので、参照していただきたい。
「ゲームがヌルくなるんじゃないの?」という疑問もあるかもしれないが、このケアによってゲーム自体の難易度は下がらない。事実としてCelesteは鬼難しい。
とにかく「操作性」によってゲームが難しいのはダメ というのが私の考えだ。
リセットの連続
僅かなダメージが命取りで、有用なアップグレードが出るかも運次第、てきとうに進めれば時間の無駄に終わってしまう。そのため序盤でミスした場合は ゲームを続行せずにリセットしたほうが得だと判断、ミスする度にドウクツ-1をやり直し続けた。
実際 リセットし続けたことで私はこのゲームを少ない時間でクリアすることができたのだ。しかし、これはある種ローグライクの崩壊とも言えるのではないだろうか?
「Risk of Rain」や「Nuclear Throne」も油断しているとすぐ死ぬローグライクゲームなのだが、このようなリセット連打は起きなかった。そしてどちらもローグライクという点で非常に面白い。そして、この違いは激しい。
もちろんこれらのゲームは操作キャラクターが複数存在し、アップグレードアイテムも数が多く・あるいはどれも有用で、プレイスタイルに幅があるから Downwellと比べるのは酷だが……
買う価値はある
いろいろ書いたが、総評としてはオススメのゲームだ。価格も安い。
開発者として踏み込んでみると、単に面白いだけじゃなくてインディーゲームの歴史において とても重要な作品であることが分かる。このゲームを扱ったインタビュー記事や、ドキュメンタリー"Branching Paths"の購入&視聴も 強く推奨する。