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ゴリラ、ヒト、ヒト。 "APE OUT"【ゲーム雑記】

最近は暑くなってきてPCが悲鳴を上げ始める季節だが、皆さんいかがお過ごしだろうか。今年のSteamサマーセールは混乱そして失敗に終わったが、私はGameMaker2と共に二本のゲームを購入し、なかなか満足している。あとRocket Leagueに復帰した。

 

で今回レビューしていくのは "APE OUT"

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ここ最近のDevolver Digitalから出たタイトルの中でも このAPE OUTは、かなり秀逸でスタイリッシュな作品だ。 何がスタリッシュかといえば、このゲームを構成している要素すべて。

ここまでハッキリ言ってしまうと誇張に聞こえるが 全部しっかりと説明していきたい。

 

シンプルの極致、そして爽快感は抜群。

まずゲームの主役というのは"人間"が多いのだが、本作の主人公は"ゴリラ"……そして人間が敵。

ステージは4つ+α あるが、基本的なストーリーは 人間に捕らわれたゴリラが檻から脱走、行く手を阻む人間を投げ飛ばし、自然に帰る という単純なもの。

 

そしてAPE OUTのデザイン……これがまた類を見ないシンプルさ。

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この切り絵のような何ともゲームらしからぬ、アナログチックなデザイン。*1

APE OUTは とにかく前に進むゲームデザインになっているので 密度の高い情報は必要ない。少ない時間で どういった状況か、どういった場所か、という特徴を見分けることができる ちょうどいい情報量に収めることで、プレイヤーは気持ちよく遊べる。

情報量を落とすことで プレイヤーに想像の余地を与えているのも良い。

 

シンプルなのはストーリーやデザインのみならず、操作方法も。

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攻撃はこれだけで、あとは移動と掴み時のエイムのみ。操作に関して覚えることが少ないと プレイヤーの思考に余裕ができ、スムーズに攻略できるようになる(しかし難易度は高いので、慣れないとよく死ぬが)

と同時に、単純でありながらゴリラに相応しいとてつもない凶暴性をもった動きは、プレイヤーの思考を退化させてもいる。敵NPCは壁や別のNPCに向かって投げ飛ばすことで簡単に倒せるので、爽快感で満たされ 油断が生まれてしまう。

油断するとあっという間に死ぬのがAPE OUT、プレイヤーはゴリラを操作してはいるが ゴリラになってはいけないのだ。

 

一番気持ちいいのは "パーカッション"

ここまで 本作のシンプルでスタイリッシュな要素を紹介してきたが、実は最もスタイリッシュかつ本作のゲームプレイを最高の体験たらしめているのは "音"だ。

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ゲーム中のBGMと一部SEは パーカッションによって演奏されており、進めている間はパカポコパカポコとゲームを盛り上げてくれる。

そしてゴリラが人間を吹き飛ばす度に シャーン! シャーン! シャーン!  と鳴り響く。これが気持ちよくて 負けてもすぐにリトライしてしまう。ゲームにおいて音が大事だということは重々承知していたが 本作をプレイして改めて再確認させてもらった。

 

気持ちよさはどこに?

一応2時間ほどでクリアしたのだが、遊んでいて気になったのは 思った以上に繊細な操作が必要だったことだ。APE OUTは高難易度なゲームだが、それは操作が難しかったり 敵の攻撃が激しすぎるからではなく、状況把握・判断を瞬間的に求められるから。

本作はリトライする度にマップや敵の配置が変わるランダム生成で、毎回プレイに違いが生まれる。その違いにどれだけ対応できるかを楽しむのだが、いまいち思った通りに操作できずに死んでしまうシーンが多い。

敵を投げようとした時に 横の壁に判定を吸われてしまったり、殴りの判定が意外に甘かったりと、瞬間的・直観的な操作において ミスが目立ちやすく、かつ取り返しがつかないので そこがストレスになっている。

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            ▲このような状況だと どうあがいても 死ぬ。

また前述のランダム生成に関して、これは良く言えばプレイに飽きが来ないとも言えるが、本作においては運要素のようにも感じられる。

APE OUTは戦闘に爽快感があるものの、 開けた場所での戦闘はほぼ死ぬし敵が多いと対応できる許容値を超えて死ぬしウダウダ考えていても死ぬしで、戦闘自体はなるべく避けたほうがよく 脱出のためにステージの奥へ奥へと 急ぐ必要があり、そうなるとランダム生成は 「いかに簡単なルート、良い敵配置を引けるか」という運が重要になってくる。

ただ やはりあくまでも高難易度ゲームなんだから これぐらいのほうがちょうどいいのかもしれない。

 

あとはボリュームがもう少しあれば大満足なので、今後追加コンテンツ・DLCなどがあればAPE OUTはより面白いゲームになるだろう。

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最高の 霊長類体験を。

*1:インディーゲームにはこういったアナログ的(または本当にアナログ)な表現を使ったものが 一定数存在する。